離れて暮らすご家族の“かけはし”

【不便な田舎で暮らす 高齢の両親への心配ごと】   田畑 友子様(仮名)40代半ば

    
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【不便な田舎で暮らす 高齢の両親への心配ごと】   田畑 友子様(仮名)...

【私の家族と実家について】

私の家は6人家族で、弟が3人います。
一番下の弟は6歳下で東北に住んでいて、

長男は兵庫県、次男は四国に住んでいます。
私は結婚を機に、海を越えてヨーロッパの
食の豊かな国へ10年ほど前に移住しました。

私の両親は2人とも76歳で、
和歌山の“田舎”という表現がぴったりな、

空が広く、畑の多い、
のどかな場所に住んでいます。

現在の実家は父が育った家であり、
祖父母が他界した後、手放すことなく父が
管理していました。

父の定年退職後に、それまで住んでいた
兵庫県の家から引越しをしました。

小学生の子供でも登るのが大変な、
急すぎる坂道の途中に建てられている家で、
敷地面積は240坪。

元々はお寺であった場所を、
とある企業が手を加え、寮としていたと言う
歴史のある平屋住宅です。

ずっしりと重い瓦屋根で、家を囲むように
庭があり、玄関までのアプローチが長く、

外からは家の様子が見えない造りで、
築年数は140年ほどと聞いています。

私が実家を出たのは高校を卒業した後で、
専門学校へ通うのがきっかけでした。

その時から現在まで、
両親とは離れて暮らしていますが、

両親が70代になってからは、
これまでになかったような心配事が
増えるようになりました。

2人共、手術を何度か経験する病気もして、
長い入院やリハビリなどを経て
現在に至っています。

困り事があっても子供達は遠方にいるため、
娘や息子に頼れない親に
申し訳ない気持ちです。


【古すぎる家に住む大変さ】

実家はとにかく古く、
あちこちに問題があります。

雨もりもしますし、床もボコボコしている
所があり劣化が進んでいます。

リフォーム費用を多少でも援助するので
業者さんに頼もうと言っても、父は

「今さら高い費用を使って修理するのは
もったいない」と言うばかり。

DIYが得意な父は高齢にも関わらず
ハシゴに登って屋根の修理をしたり、

床材を交換したり、不具合があると
自分で直してきました。

家は2つの玄関と8つの部屋、台所、風呂と
くみ取り式のトイレという構造です。

いわゆる“ぼっとん便所”で2週間置きに
くみ取り車が周辺の家を回ります。

このように掃除する場所が多いため、
掃除だけでも2時間以上かかると
母がため息を漏らしています。


【人に任せるのが嫌で、
何でも自分でやりたい母】

母は3年ほど前に事故で
背骨を折ったことから背中が丸くなり、

歩く時も腰を曲げてしか歩けないので、
年齢以上に高齢に見えます。

元々、身長も低い方なので
高い位置の掃除はもちろん、腰の上げ下げも
辛いので家事に時間がかかります。

以前は年末に大掃除をしていたようですが、
この2~3年ほどは体調を壊していたり、
入院だったりと機会を逃していました。

その間、母は思い付いた時に
片づけたいモノや手入れしたいことなど
「やりたいことリスト」を
作っていたそうです。

そして、過ごしやすくなった
3月にいよいよ決行しようと計画を。

ところが、大変なことが起こりました。


【母がケガ以上に辛かったこと】

父がいる時に片づけをすると、
あれもこれも捨てようと言われるため、

父が出かけて不在の日に自分のペースで
行いたいと思っていた母。

その日、母がやりたかったことは
押し入れの上の物入れに置いている

座布団を干すことや、
新品のシーツや布団カバーを出す事。

しまいっぱなしの着物を出して
陰干しすることや、着物ダンスの中を

きれいにすること、普段よりも丁寧に
仏壇を掃除することなどでした。

着物を陰干しし、タンス内を丁寧に
掃除するまでは順調に進み、

押し入れの上の物入れの中の物を
出そうとイスに乗ったのですが、

中がよく見えないため、
ハシゴを持ってきたそうです。

しかし、ハシゴに登るとぐらぐらして、
落ちてしまったのです。

しばらく動けず、
横になったままだったそうです。

もし頭を打っていたらと思うと
身の毛がよだちます。

母は左の手を下にして落ちたため、
ねんざしてしまいました。

母の歳になると回復に時間がかかりますし、
精神的なショックも尾を引きます。

また、予定していたことが
出来なかったストレスも残り、

父から怒られてしまったことで、
母は落ち込んでしまいました。


【高齢者のモチベーションを
奪わずより添う事とは】

“人に任せられること”と“任せにくい事”、
「自分でやりたいこと」があると思います。

自分が望むことを素直に、忠実に
やってくれる人がいれば頼ると思いますが、
母は近くにそのような人がいません。

それで無理して自分で
やろうとしてしまうのですが、
今回のようにケガをする羽目に。

このようなことは
今回が初めてではないので、

お願いだから無茶しないでと
言ってきましたが起こってしまいました。

高齢になると視力も悪くなるため、
掃除も隅々まで行き届かなくなり、

高い位置の掃除や物の取り出しが
難しくなります。

そういった日常のささいなことのフォロー、
月に何回かのプロによる掃除、

より快適に暮らせるよう、使いやすさを
重視した高齢者向けリフォーム
(介護リフォームとは違うもの)、

それが適正な価格で、安心して気軽に
相談出来る会社や人、サービスを
見つけたいというのが私の願いです。

さらに言えば、高齢者だから
何も出来ないわけではないため、

何もかも誰かに委託するのは
望んでいません。

元気の源となるのは人に頼られたり、
人のために何かをすることだと
思うからです。

大掃除の際に母の横でお手伝い下さり、
母の希望どおりに処分品と残すものを

分別し、より便利なところに移動して
頂ければ使いやすくなります。

高い位置の棚や物置に何を入れたのか
忘れてしまうため、写真を撮って頂き、
メール下されば分かりやすい。

プリントアウトしてファイルに
入れておけばいいのです。

家事がしやすくなり、スムーズな動きが
出来ること、自分の家の中の事を
把握している。

そんな当たり前のことが揃っているだけで
安心して、元気に暮らせると思います。


【娘の願い】

高齢者をターゲットにした
詐欺ビジネスが多いため、

気軽に家庭の事情を話すことや、
問合せすることに気が引けます。

行政のサービスには限界がありますし、
ヘルパーさんに来て頂くのも
条件があります。

遠方に住む高齢の両親の困りごとを
娘の私に変わって手伝って頂ける、
信用できる会社を見つけたい。

定期的に通って下さり、
報告を頂ける会社を探してあげるのが
今の私の目標です。

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